Eラインは横顔の審美
2024年1月30日
Eラインは横顔の審美
<復顔術>って皆さんご存知でしょうか。犯罪捜査などで乾燥頭蓋から生前の顔を再現していくものです。
これは顔面骨格ににあるいくつかの特定の基準点上に、あらかじ分かっている平均的な皮下組織の厚みを粘土などによって
貼り付けていくものですが、出来上がった顔は非常に再現性が高いと言われています。
これは、皮下組織の厚みについてはあまり個体差がないということと同時に、結果として人の顔つきは、
骨格の形が決定的な要素となっているということを意味しています。
ここで重要なのは、歯もまた生体の硬組織として骨格形と同等の立場にあるということです。
例えば、出っ歯の場合、歯の位置が前突しているせいで周囲の筋に緊張感を与え、また物理的に口元の突出を作ってしまいます。
このような状態を定量化する方法に、Eライン(esthetic line)があります。
日本人のEラインは、通常下唇が平均2mmほど重なると言われています。
Eライン (esthetic line)とは顔を横から見た時、鼻の先端とオトガイを結んだ線をいう。
矯正治療が成果を出せば口元の軟組織はより理想に近い方へ動いていき、同時に周囲筋の緊張も解消に向かうと思われます。
矯正治療では軟組織、特に口元に対しても治療の対象とすることが多いのですが、審美性を判断する場合、
どうしても主観的な要素を排除することは不可能です。つまり、絶対的な美というものがある反面、
一方で美の基準は時代や場所によって大きく異なることもあるということです。
モンゴロイドである日本人の顔に対する美意識は、いわゆる西洋文明のなかで育てられてる現在、
白人の顔つきが審美性の基準として知らず知らずうちに刷り込まれているのかもしれません。
結果として美容外科では鼻やオトガイを高くして目を二重にする人が多くなり、口元はできれば後退させたいという要求が多くなります。
結果、より立体的になると言えます。
後退した口元は鼻やオトガイを高く見せ、結果として立体的な顔立ちを作る。
これは多くの現代人ではより好ましい顔貌上の変化を与えることができるのかもしれません。
しかし、今実際に見るとギョッとするであろう、お歯黒、が当たり前の時代だったのは、そんな昔ではありません。
口元の審美性が患者さんの主訴であれば、当然矯正の対象ですが、逆に単に口元が出ているだけでは強く矯正を勧めることはできません。
特に顔については、患者さん自身の希望、願望によります。
(歯科衛生士のための矯正学 歯科衛生士 Vol.27 No.4/2003 参照)