虫歯の親知らず ~抜くか、治すか~
2024年4月15日
虫歯の親知らず ~抜くか、治すか~
親知らず(第3大臼歯)が虫歯になった。
どうするか? 抜くか、治すか。

親知らず
目次
答え。① かむのに役立っている
② 今後は心を入れ替えて、虫歯にしない養生に励む
の2条件が揃えば、治す。
それ以外なら、抜く方が賢明だ。
解説を・・・。一番奥の大臼歯の奥に、ときに歯がもう一本生える。
第3大臼歯と呼ぶ。遅く生えるので、親が死んでから生える歯と「親知らず」の名が付いた。
でも、親知らずは生える場所が窮屈で、マトモに生えない人が7割もある。
生えない具合はX線で分かるが、多くは前の第2大臼歯の方向に、横向きに生え、かむのには役立たない。
そのうえ、親知らずの頭がしばしば第2大臼歯に密着して、境に歯垢(しこう)が溜まり、第2大臼歯まで虫歯になる。
また、役立つ親知らずでも、最奥だから唾液が届きにくく、磨きにくくて、虫歯になりやすい。奥だから、治療もやっかいだ。
で、「親知らずの虫歯は抜く」のが歯科の定説だった。無理して残しても、痛いなどの苦労が増えるだけだ。
しかし以前は、虫歯でなくても抜くケースがかなり目立ち、抜きすぎと問題になって、
患者たちの「自分の歯を大切にしてほしい」という反発を誘った。

親知らず
いまでは歯科医師が、虫歯の親知らずの抜歯を、患者に「どうしますか」と聞くことも多い。
以上をお読みの読者なら、「私の親知らずは、かむのに役立ってますか」と聞き返せばよいと、お分かりだろう。
さて、答えがYESでも第2条件がある。現に虫歯になったのだ。今後はなお危ない。
心機一転、間食を減らし、寝る前に磨かないと、苦労ばかりで抜く結果を招く。
つまり、「歯は抜かずに」が通念だが、虫歯の親知らずは例外だ。
抜かずにおき、他の歯がダメになったら植え替える技法もある。だが植え替えに役立つ機会もマレで、やってくれる歯科が少ない。
なお親知らずの抜歯は、状況によっては難しい。難しそうだったり、歯科医師が慣れていないようなら、
歯科大学か大学歯学部の口腔外科(医学部の口腔外科は違う)が、抜歯専門だし、麻酔もまず完璧で、安全。
用心深い人にはお勧めだ。

親知らず
大阪市北区曽根崎新1-4-20桜橋IMビル4F
かわさと歯科・矯正歯科
日本歯周病学会専門医・指導医
院長 川里 邦夫
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- 正式名称:第三大臼歯、智歯
- 生える時期:10代後半から20代前半
- 正式名称:第三大臼歯、智歯
- 生える場所:口の中の一番奥
- 個人差:生えてこない人もいる
- 親知らずの名前の由来:自分で管理できるようになる時期に生えてくるため、親が知らないうちに生えてくることから「親知らず」と呼ばれています。
- 虫歯:歯ブラシが届きにくく、汚れがたまりやすい
- 歯周病:歯周炎を起こし、歯肉の炎症につながる
- 智歯周囲炎:歯肉炎で、口の奥の歯肉が腫れたり、痛む
- 隣の歯への影響:斜めに生えたり、生え方に問題がある場合、隣の歯を傷める可能性がある
- 抜歯の判断基準:炎症を繰り返す、隣の歯に悪影響を及ぼす、虫歯のリスクが高いなどの場合は抜歯を検討する
- 抜歯後の注意:腫れや痛みが続く場合がある
- 抜歯のメリット:炎症の再発を防ぎ、隣の歯を保護する
- 抜歯のデメリット:痛みが続く、腫れがひどくなる、歯周病のリスクが高まる
- 抜歯のタイミング:一般的に20〜35歳頃が推奨されるが、個人差がある
- 抜歯の費用:保険診療で、通常3,000円程度(歯科医院によって異なる)