なぜ歯石を取るの?
2024年3月26日
なぜ歯石を取るの?
歯石の表面はザラついているため汚れがつきやすく、常にプラーク(細菌のかたまり)で覆われてしまいます。
歯周ポケットに入り込んでいる歯石は、常に歯ぐきの内側にプラークが直接触れている状態なので、
歯ぐきは炎症を起こし、赤く腫れ、出血もします。
さらに歯を支えている骨まで、破壊されます。

歯石
なぜ歯石を取るの?
★歯石除去をしないと…
歯石の下に虫歯がある場合や、歯と腫れている歯ぐきの境い目の虫歯の場合は、
虫歯の範囲がはっきり分からないため、きちんと削って詰めることが出来ません。
補綴物(ほてつぶつ)(銀歯やブリッジなど)の型どりの際に、歯ぐきが腫れていると出血し、
歯との境い目の型がとれないため、初めから合わない補綴物(ほてつぶつ)が入ることになります。
その為、「すぐ取れた」「再び虫歯になった」「歯ぐきの炎症が悪化した」などという事が起こります。
この他にも、最近の歯周病に関する研究において、心臓や肺の病気、糖尿病また、
流産や早産といった歯周病や虫歯からくる口腔細菌が影響を及ぼすさまざまな疾患があります。
すなわち、健康の第一歩は定期的な歯石取りから始まるのです。

歯石
★歯石除去をすると…
約1ヶ月後、歯ぐきの炎症が取れて引き締まり、虫歯の範囲もはっきり分かるため、
きちんと削って詰めることができます。
補綴物(ほてつぶつ)(銀歯やブリッジなど)の型どりも出血がなく、
歯と歯ぐきの境い目が綺麗にとれるため、きちんと合った補綴物(ほてつぶつ)を入れることが出来ます。
さらに歯周病の改善をはかることが可能です。
なお、一度歯石除去をして終わりではなく、その状態を保つためには、定期的にクリーニング・歯石除去が必要です。

歯石除去後
*歯周病の進行具合によっては歯石除去をおこなっても炎症の改善がみられない場合があります。
その時は他の処置が必要となります。
ポケット内洗浄・プロケア
歯肉縁下に付着した汚れや頑固についたバイオフィルム(プラーク)は完全には取り除けません。
しかも、リスクの高い部分ほどうまく清掃できないのが現実です。
そのため、歯周疾患のメインテナンスにおいて、殺菌剤を併用したポケット内洗浄が必要になってきます。
一時的にバイオフィルムを破壊することはできますが、
完全には取り除けないため再びイオフィルムが作られてしまいます。

バイオフィルム
ポケット内洗浄とは…
歯周ポケット内を直接、殺菌剤の溶液で洗浄することにより、
ポケット内を除菌し、環境の改善をねらい細菌叢を長期にわたり
健全化するクリーニングのことです。

ポケット内洗浄
ポビドンヨード
即効性があり、広範囲の微生物に対して殺菌作用を示します。
健康状態によって抜歯できない方や、深いポケットが残ってしまっている状態で
メインテナンスされている方には、より効果があります。
※ただし、甲状腺疾患の方やその既往歴がある方、ヨードアレルギーの方は、
使用できません。
クロルヘキシジン
即効性があり、低濃度で殺菌効果が高く、効果の持続が期待できます。
バイオフィルムがつきにくくなる効果もあります。
※ただし、タンパク質が多いポケット内ではクロルヘキシジンが不活化されます。
アナフィラキシーショックを起こすことがあります。着色の問題があります。
大阪市北区曽根崎新1-4-20桜橋IMビル4F
かわさと歯科・矯正歯科
日本歯周病学会専門医・指導医
院長 川里 邦夫