インプラントのメンテナンスは本当に必要?受診すべきタイミング
2026年2月15日

インプラント治療を受けた方の中には、「治療が終わったらもう歯医者に行かなくていいのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、インプラントを長く快適に使い続けるためには、治療後の定期的なメンテナンスが欠かせません。
インプラントは人工物ですが、天然歯と同じように口腔内の環境に影響を受けます。適切なケアを怠ると、インプラント周囲炎などのトラブルが発生し、最悪の場合はインプラントを失うことにもつながります。
この記事では、インプラントのメンテナンスがなぜ必要なのか、どのようなタイミングで受診すべきか、そして自宅でできるセルフケアまで、実践的な情報をお届けします。
目次
インプラントのメンテナンスが必要な理由
インプラント治療を終えた後も、定期的なメンテナンスが必要です。
その理由は、インプラントが天然歯とは異なる特性を持っているからです。
インプラント周囲炎のリスク
インプラントは虫歯にはなりませんが、**インプラント周囲炎**という病気にかかるリスクがあります。
インプラント周囲炎とは、インプラントの周りの歯茎や骨が炎症を起こす病気です。天然歯における歯周病と同じような状態で、放置すると周囲の骨が破壊され、インプラントを支えられなくなります。
インプラントには天然歯を支える歯根膜がないため、細菌に対する抵抗力が弱く、炎症が急速に進行する特徴があります。自覚症状があまりないため、気づいたときには進行していることも多いのです。
定期的なメンテナンスを受けることで、インプラント周囲炎を早期に発見し、適切な処置を行うことができます。
天然歯の健康を守るため
インプラントのメンテナンスは、インプラント自体だけでなく、残っている天然歯の健康を守る目的もあります。
インプラント治療は基本的に1本単位から可能で、その周辺には天然歯が残っています。これらの天然歯を守っていくことも、口腔内全体の健康維持には欠かせません。
定期メンテナンスでは、虫歯や歯周病のチェック、歯石の除去なども行います。インプラント以外の場所でも歯周病が発症するリスクはあり、放置すればインプラント・天然歯ともに失う恐れもあります。
メーカー保証を受けるため
インプラントには、メーカーによる保証期間が設定されていることが一般的です。
保証期間は5〜10年程度が一般的で、期間内であれば、患者さまの故意による破損以外の不具合が発生した場合に、代替品と交換できる制度です。
ただし、この保証を受けるためには、定期的にメンテナンスを受けていることが条件になっている場合が多いです。万が一のトラブルに備えるためにも、メンテナンスは欠かせません。

インプラントのメンテナンスでは何をする?
実際のメンテナンスでは、どのようなことが行われるのでしょうか。
歯科医院でのメンテナンス内容について、詳しく見ていきましょう。
口内の状態確認
メンテナンスでは、まず口内の状態を詳しく確認します。
主な確認項目は以下のとおりです。
- インプラントの動揺度(グラつき)
- 歯周ポケットの深さ
- 歯茎の炎症の有無
- 歯ぎしりや食いしばりの有無
- 噛み合わせの状態
- 天然歯の虫歯や歯周病の有無
必要に応じて、レントゲン写真を撮影し、顎の骨の状態を確認することもあります。これにより、目に見えない部分の変化も把握できます。
クリーニング
口内やインプラント周囲に付着した歯石を除去し、自宅では落とせない汚れをクリーニングします。
歯石は、歯周病菌が増殖しやすい場所です。歯垢(プラーク)が付着した状態を放置すると、石灰化して歯石になります。
歯石は歯磨きでは除去できないため、定期的に歯科医院で除去してもらう必要があります。専用の器具を使って丁寧に取り除くことで、インプラント周囲炎の予防につながります。
歯磨き指導
インプラントやほかの歯の寿命を延ばすには、歯科医院でのケアだけでなく、毎日の自宅でのケアが重要です。
自宅で行うセルフケアで効率的に汚れが落とせるように、歯科衛生士が歯磨き指導を行います。インプラントは根元のへこみが大きくなる傾向があり、正しい方法で磨かなければ食べかすが蓄積しやすくなります。
一人ひとりの口腔内の状態に合わせた、適切なブラッシング方法や補助器具の使い方をアドバイスします。

メンテナンスを受けるべきタイミングと頻度
どのくらいの頻度でメンテナンスを受ければよいのでしょうか。
適切な受診タイミングについて解説します。
一般的な受診頻度
インプラントのメンテナンスは、**年に2〜4回程度**が一般的です。
患者さまの口腔内の状態によって適切な頻度は異なりますが、半年に1回は最低でも受診することが推奨されています。インプラント治療後は、インプラントがダメになるか、患者さまが亡くなるまでのどちらかで、メンテナンスが必要になります。
メンテナンスの間隔は歯科医師から指示されるので、忘れずに受診しましょう。口腔内の状態が安定している方は年2回、リスクが高い方は年3〜4回と、個別に調整されます。
こんな症状があったらすぐに受診を
定期メンテナンスの時期でなくても、以下のような症状があればすぐに受診してください。
- インプラント周辺の歯茎が腫れている
- 歯茎から出血する
- インプラントがグラつく
- 噛んだときに痛みや違和感がある
- 歯茎に痛みがある
これらの症状は、インプラント周囲炎や噛み合わせの問題など、トラブルのサインかもしれません。早期発見・早期治療が、インプラントを長持ちさせる鍵となります。
インプラントのメンテナンス費用

メンテナンスにかかる費用も、事前に知っておきたいポイントです。
基本的に保険適用外
インプラントは自由診療に該当するため、治療後のメンテナンス費用は基本的に保険適用外です。
ただし、大学病院の口腔外科や歯科などの特定の医療機関で治療を受けた場合は、保険が適用されるケースもあります。
歯科医院によって異なりますが、一般的にインプラントのメンテナンスにかかる費用は、**1回あたり3,000〜10,000円程度**です。メンテナンスの内容によって、さらに高額になる場合もあります。
医療費控除の対象になる場合も
インプラントのメンテナンスにかかる費用は、医療費控除を受けられるケースがあります。
医療費控除とは所得控除の一種で、支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税や住民税が軽減される制度です。インプラント治療やメンテナンスが治療目的であれば、控除の対象となる可能性があります。
確定申告の際に、領収書や診療明細書を保管しておくことをおすすめします。
自宅でできるインプラントのセルフケア方法
歯科医院でのメンテナンスと同じくらい重要なのが、毎日の自宅でのセルフケアです。
インプラントを長持ちさせるための、効果的なセルフケア方法をご紹介します。
歯磨きを丁寧に行う

インプラントのセルフケアの基本は、毎日の丁寧な歯磨きです。
インプラントは根元のへこみが大きくなる傾向があり、天然歯に比べて歯磨きがしにくくなります。正しい方法で歯磨きをしなければ、歯と歯茎の間に食べかすが蓄積し、繁殖した細菌が侵入して歯周炎を引き起こす恐れがあります。
歯ブラシは毛先が細く、柔らかめのものを選び、インプラントと歯茎の境目を意識して磨きましょう。力を入れすぎず、優しく丁寧に磨くことが大切です。
研磨剤が含まれていない歯磨き粉を使用する
インプラントのケアには、研磨剤が含まれていない歯磨き粉を使用することが推奨されています。
研磨剤入りの歯磨き粉は、インプラントの表面を傷つける可能性があります。傷がつくと、そこに細菌が付着しやすくなり、インプラント周囲炎のリスクが高まります。
歯科医院で推奨される歯磨き粉を使用するか、研磨剤不使用と明記された製品を選びましょう。
歯間ブラシやデンタルフロスを使用する
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを完全に取り除くことはできません。
歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで、より効果的にプラークを除去できます。特にインプラントと天然歯の間、インプラント同士の間は汚れが溜まりやすい場所です。
歯間ブラシはサイズが合ったものを選び、無理に押し込まないように注意しましょう。デンタルフロスは、インプラント専用のものを使用すると安心です。
かわさと歯科・矯正歯科のインプラントメンテナンス体制

当院では、インプラント治療後の長期的なサポート体制を整えています。
インプラントは入れて終わりではありません。治療後のメンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎のリスクが高まります。
当院では、**歯周病専門医・認定歯科衛生士による定期的なメンテナンス体制**を整え、治療後も長期的にサポートしています。30年以上のインプラント治療経験と通算3,000本以上の埋入実績を持つ、ICOI(国際口腔インプラント学会)認定医・指導医が在籍しているため、万が一のトラブルにも迅速に対応できます。
患者さま一人ひとりの口腔内の状態に合わせた、最適なメンテナンスプランをご提案します。インプラントを長く快適に使い続けるために、定期的なメンテナンスをぜひご活用ください。
まとめ
インプラントのメンテナンスは、インプラントを長持ちさせるために欠かせないものです。
インプラント周囲炎の予防、天然歯の健康維持、メーカー保証の適用など、メンテナンスには多くのメリットがあります。年に2〜4回の定期受診と、毎日の丁寧なセルフケアを継続することで、インプラントを長く快適に使い続けることができます。
もし気になる症状があれば、定期メンテナンスの時期を待たずに、すぐに歯科医院を受診しましょう。早期発見・早期治療が、インプラントの寿命を延ばす鍵となります。
かわさと歯科・矯正歯科では、インプラント治療後の長期的なサポート体制を整えています。インプラントのメンテナンスや、治療に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
著者情報
かわさと歯科・矯正歯科 院長 川里 邦夫

資格・所属学会・団体
日本歯周病学会専門医・指導医
顎咬合学会認定医・指導医
SJCD(日本臨床歯科学会)認定医
歯科審美学会認定医
矯正歯科学会
口腔インプラント学会専門医・指導医
補綴歯科学会
臨床歯周病学会認定医・歯周インプラント認定医
接着歯学会
OJ正会員・フェローシップメンバー
AO(アメリカインプラント学会)
AAP(アメリカ歯周病学会)

