ワイヤー矯正のゴムかけとは?必要な理由と注意点を歯科医が解説
2026年2月14日

歯列矯正を始めて、ある程度歯並びが整ってきたタイミングで「ゴムかけ」の指示を受ける方は少なくありません。
見た目が整ってきたのに、なぜまだゴムをかけなければならないのか・・・
そんな疑問を抱きながらも、毎日のゴムかけに取り組んでいる方も多いのではないでしょうか。
実は、このゴムかけは矯正治療の仕上がりを大きく左右する重要なステップなのです。
目次
ワイヤー矯正のゴムかけとは
ゴムかけとは、矯正治療の中盤から後期にかけて行う処置のことです。
上下の矯正装置に小さな輪ゴムのような「顎間ゴム(エラスティックゴム)」をかけ、ゴムの引っ張る力を利用して歯を動かしていきます。
直径は約4〜10ミリの小さな医療用ゴムを使用し、矯正装置のフックやアタッチメントに引っかけることで効果を発揮します。
ワイヤー矯正だけでは力が伝わりにくい箇所に対して、ゴムの縮む力を使って歯を引っ張ることで、より精密な歯の移動が可能になります。
ゴムかけは患者様ご自身で毎日付け外しを行っていただく必要があり、食事と歯磨きの時間以外は装着していただくことが理想です。
一日の装着時間は20時間以上が推奨されており、装着時間を守ることで治療計画通りに進められます。
使用するゴムは使い捨てで、劣化によってゴムの力が低下しないよう、一度外した後は新しいゴムに取り替えることが大切です。
ゴムかけが必要な理由
噛み合わせを整える役割

ワイヤー矯正で歯並びがある程度整っても、噛み合わせまで完全に仕上がっているわけではありません。
上下の歯に隙間が空いていて、しっかり噛めていない場合が多いのです。
ゴムかけは、この上下の歯の隙間を埋めていく重要な役割を担っています。
ゴムの引っ張り合う力で、上下の歯を適切な位置に移動させ、機能的な噛み合わせを作り上げていきます。
歯の移動を効率的に進める
ワイヤー矯正やマウスピース矯正だけでは力が伝わりにくい箇所に対して、ゴムかけを併用することで効率的に歯を動かすことができます。
目的の歯を前方に引っ張ったり、逆に後ろへ引っ込めたり、歯に加わる力の強さや角度を微調整しながら、出っ歯や受け口、開咬といった噛み合わせの乱れを整えていきます。
ゴムかけをしっかり行うことで、治療期間が短縮されるケースもあります。
治療の仕上がりを左右する
見た目がきれいでしっかり噛める機能的な歯並びを手に入れるには、細かな調整が必要です。
ゴムかけは、矯正治療の最終段階で歯の位置を微調整し、より自然で美しい歯並びを作るために欠かせない処置なのです。
歯並びだけでなく、横顔のバランス(Eライン)まで考慮した矯正計画を実現するためにも、ゴムかけは重要な役割を果たします。
ゴムかけの種類とかけ方

2級ゴム(出っ歯の改善)
上顎前突(出っ歯)の改善に使用します。
上の前歯(犬歯付近)と下の奥歯(第一大臼歯付近)にゴムをかけることで、上顎の歯を後ろへ、下顎の歯を前へ移動させる効果があります。
3級ゴム(受け口の改善)
下顎前突(受け口)の改善に使用します。
上の奥歯(第一大臼歯付近)と下の前歯(犬歯付近)にゴムをかけることで、下顎の歯を後ろへ、上顎の歯を前へ移動させる効果があります。
垂直ゴム(開咬の改善)
開咬(奥歯は閉じても前歯が開いたまま)の改善に使用します。
上下の歯に対して垂直になるようにゴムをかけ、歯に垂直的な力をかけることで、歯の高さが伸びて歯が噛み合うようになります。
クロスゴム(交叉咬合の改善)
交叉咬合(上下の歯が反対に噛み合う部分がある)の改善に使用します。
例えば右上顎から左下顎にゴムをかけるなど、噛み合わせの面を輪ゴムがまたぐ形になります。
上下の噛み合わせがズレている時に行うことで効果が出ます。
ゴムかけの装着時間と期間

一日の装着時間
ゴムかけは、基本的に食事と歯磨きの時間以外は装着していただくことが推奨されます。
一日20時間以上の装着が理想とされており、装着時間を守ることで矯正効果を最大限に高めることができます。
歯や顎に負担がかからない程度の弱い力を長時間かけ続けることが、歯の移動には必要なのです。
外している時間が長くなると、それだけ歯が元の位置へ戻ろうとしてしまいます。
装着期間の目安
ゴムかけをする期間は、矯正治療を行っている全ての期間というわけではありません。
矯正治療の処置の中の一つとして、数ヵ月ほどの期間で行われることが多いです。
症状の軽い方であれば約1か月程度で終わる可能性もありますが、歯並びをしっかりと動かしていきたい場合や噛み合わせが悪い場合には、1年以上に及ぶこともあります。
症状や治療内容に合わせて、歯科医師が個別に指示をいたしますので、指示に従って装着するようにしましょう。
ゴムかけをさぼるとどうなるか
ゴムかけは矯正治療の内容の一つです。
歯科医師はゴムのかけ方や強さを計算したうえで矯正治療の計画を立て、患者様にゴムかけの指導をしています。
ゴムかけが面倒、または違和感があるからと言って、ゴムかけを指示通りにきちんと行っていないと、歯の動きが鈍くなり思っていた以上に時間がかかってしまうことがあります。
さらに、噛み合わせにずれが残ることもあります。
ゴムかけをしないと起こってしまうこと、それは「治療が終了する期間がどんどん延びて終わらない」です。
ゴムかけは、ワイヤー矯正やマウスピース矯正だけでは力が伝わりにくい場所に行う矯正方法なので、補助的な役割ではなく、ゴムかけ自体もとても大切な矯正治療なのです。
ご自身でゴムかけをしっかり行い効果が早く出ると、治療期間が短縮されるケースがあります。
こまめにゴムの付け外しをすること、ゴムをつけている時間を少しでも長くすることで、治療計画通りに進められるとゴールも近づくのです。

ゴムかけをする際の注意点
毎日交換する
使用するゴムは使い捨てで、劣化によってゴムの力が低下しないよう、一度外した後は新しいゴムに取り替えましょう。
交換のタイミングは就寝前をおすすめします。
夜にお口の中の細菌が増えるため、清潔なゴムに交換することが大切です。
予備のゴムを持ち歩く
外出時には予備のゴムを持ち歩くと安心です。
大きく口を開けた際にゴムが切れたり、突然外れてしまうことがあるため、あくびをする際には慎重に動作することが求められます。
片側だけゴムが切れた場合は、力のバランスを維持するために必ず両方のゴムを交換しましょう。
痛みや違和感が続く場合は相談する
ゴムを装着していると、最初は強く引っ張られる感覚があり、違和感を覚えることがあります。
1〜2週間ほど継続して使い続けていると扱いに慣れてきて、違和感も徐々に緩和されてきます。
もし装着中に痛みや違和感が続く場合は、無理せず歯科医院に相談し、適切な調整を受けることが大切です。
装着を忘れないよう習慣化する
食事の時に顎間ゴムを取り外して、装着を忘れてそのまま過ごしてしまう患者様もみられます。
スマホのアラーム機能を活用し、装着の習慣をつけることをおすすめします。
毎日の装着を習慣化し、確実に継続することが成功へのカギとなります。

まとめ
ワイヤー矯正のゴムかけは、見た目が整ってきた段階で行う重要な処置です。
噛み合わせを整え、歯の移動を効率的に進め、治療の仕上がりを左右する役割を担っています。
一日20時間以上の装着が推奨されており、装着時間を守ることで治療計画通りに進められます。
ゴムかけをさぼってしまうと、治療期間が延びたり、噛み合わせにずれが残ったりする可能性があります。
毎日のゴムかけは面倒に感じるかもしれませんが、理想の歯並びを手に入れるために、しっかりと取り組んでいきましょう。
かわさと歯科・矯正歯科では、歯並びだけでなく、噛み合わせや横顔のバランスまで考慮した矯正計画を重視しています。
ワイヤー矯正(表側・裏側)とマウスピース矯正の両方に対応しており、必要に応じてハイブリッド矯正にも対応しています。
治療前には3Dシミュレーション(iTero)で歯並びの変化を事前に確認でき、患者様が治療後のイメージを具体的に把握できる体制を整えています。
矯正治療前後に必要となる虫歯・歯周病治療、抜歯、補綴治療まで院内で完結できる総合歯科医院として、患者様一人ひとりの状況や価値観を尊重しながら、長期的な安定を目指した矯正治療を提供しています。
北新地駅すぐという利便性の高い立地で、通院しやすさという点でも患者様にとってのメリットとなっています。
矯正治療をお考えの方は、ぜひ一度かわさと歯科・矯正歯科にご相談ください。
著者情報
かわさと歯科・矯正歯科 院長 川里 邦夫

資格・所属学会・団体
日本歯周病学会専門医・指導医
顎咬合学会認定医・指導医
SJCD(日本臨床歯科学会)認定医
歯科審美学会認定医
矯正歯科学会
口腔インプラント学会専門医・指導医
補綴歯科学会
臨床歯周病学会認定医・歯周インプラント認定医
接着歯学会
OJ正会員・フェローシップメンバー
AO(アメリカインプラント学会)
AAP(アメリカ歯周病学会)

