インビザラインのゴムかけはなぜ必要?治療への影響と注意点
2026年2月14日

インビザライン矯正を始めると、治療の途中で「ゴムかけ」という処置を指示されることがあります。
「マウスピースだけでも大変なのに、さらにゴムをかけるの?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ゴムかけは単なる補助ではなく、治療の成功を左右する重要なステップなのです。
本記事では、インビザラインのゴムかけがなぜ必要なのか、どのような効果があるのか、そして日常生活で気をつけるべきポイントまで、わかりやすく解説します。
目次
インビザラインのゴムかけとは?基本的な仕組みと役割
インビザライン矯正における「ゴムかけ」とは、医療用の小さな輪ゴムを上下の歯に装着し、ゴムの弾性を利用して歯を動かす補助的な処置です。
この医療用ゴムは「顎間ゴム」や「エラスティック」とも呼ばれ、マウスピースだけでは難しい歯の移動をサポートします。
ゴムかけの取り付け方法は主に2種類あります。
一つは、歯の表面に「ボタン」と呼ばれる小さな突起物を取り付けてゴムをかける方法です。
もう一つは、マウスピース自体に「フック」を作ってゴムをかける方法になります。
フックの位置は症例によって異なりますが、前歯に近い部分には透明で目立たない素材を使用し、奥歯には外れにくい金属製のものを使用することが一般的です。
ゴムかけの最大の役割は、マウスピースだけでは実現しにくい上下の歯の位置関係を調整することです。
マウスピースは左右の歯並びを整えることは得意ですが、上下方向の力をかけることは苦手とされています。
そこでゴムの縮む力を利用することで、出っ歯や受け口といった上下のズレを効率的に改善できるのです。
ゴムかけは患者様ご自身で毎日着脱していただく必要があります。
歯科医師が指定した位置に正しくゴムをかけることで、計画通りに歯が移動し、理想的な噛み合わせを実現できます。
ゴムかけが必要な理由と治療への影響
マウスピースだけでは難しい歯の移動をサポート

インビザラインのマウスピースは、歯を水平方向に動かす「歯体移動」を基本としています。
しかし、上下方向に歯を動かしたり、回転させたりする動きは、マウスピースだけでは十分な力をかけることが難しいのです。
ゴムかけを併用することで、マウスピースでは補いきれない方向への力を加えることができます。
特に噛み合わせの調整には、上下の歯に同時に力をかける必要があります。
ゴムの弾性を利用すれば、上の歯を後ろに下げながら下の歯を前に出すといった複雑な動きも可能になります。
治療期間の短縮につながる効果
ゴムかけを適切に行うことで、歯の移動速度が向上し、治療期間の短縮が期待できます。
マウスピースだけで歯を動かすよりも、ゴムの力を加えることで歯に大きな力を与えることができるからです。
その結果、計画通りに歯が移動し、追加の治療期間が発生するリスクも減らせます。
ただし、ゴムかけの効果を最大限に引き出すには、指示された装着時間を守ることが不可欠です。
装着時間が不足すると、歯の移動が遅れ、かえって治療期間が延びてしまう可能性もあります。
上下の噛み合わせを精密に調整
ゴムかけの重要な役割の一つが、上下の噛み合わせを精密に整えることです。
出っ歯(上顎前突)や受け口(下顎前突)、開咬(前歯が噛み合わない状態)といった症例では、ゴムかけが特に効果を発揮します。
例えば、出っ歯の改善には「Ⅱ級ゴム」という方法を用います。
上の前歯付近と下の奥歯にゴムをかけることで、上の歯を後方に、下の歯を前方に移動させます。
反対に、受け口の改善には「Ⅲ級ゴム」を使用し、上の歯を前方に、下の歯を後方に動かします。
また、治療の最終段階では、微妙な歯のズレを調整するためにゴムかけを行うこともあります。
歯並びがある程度整った後に、噛み合わせの細かな調整を行うことで、より完成度の高い仕上がりを目指せます。
ゴムかけの種類と装着方法

Ⅱ級ゴム(出っ歯の改善)
Ⅱ級ゴムは、上顎前突(出っ歯)の改善を目的として使用されます。
上の歯の前から3番目(犬歯)と、下の歯の前から6番目(第一大臼歯)にゴムをかけるのが一般的です。
このかけ方により、上の歯を後方へ、下の歯を前方へ移動させることができます。
Ⅲ級ゴム(受け口の改善)
Ⅲ級ゴムは、下顎前突(受け口)の改善に用いられます。
Ⅱ級ゴムとは逆の位置にゴムをかけ、上の歯の前から6番目と、下の歯の前から3番目を繋ぎます。
これにより、上の歯を前方へ、下の歯を後方へ移動させることが可能です。
垂直ゴム(開咬の改善)
垂直ゴムは、開咬(前歯を噛み合わせた時に上下の歯の間に隙間ができる状態)の改善に使用されます。
上下の歯に対して垂直方向にゴムをかけることで、歯を縦に引っ張り、噛み合わせを深くします。
前歯の高さを調整し、上下の歯がしっかり噛み合うようにする効果があります。
交叉ゴム(噛み合わせのズレ改善)
交叉ゴムは、交叉咬合(部分的に下の歯が上の歯よりも外側に出ている状態)の改善に用いられます。
上下の歯に対して斜めにゴムをかけ、例えば上の歯の表側から下の歯の裏側へとたすき掛けのように装着します。
この方法により、左右の噛み合わせのバランスを整えることができます。
どの種類のゴムかけが必要かは、患者様の歯並びや噛み合わせの状態によって異なります。
歯科医師が診断に基づいて最適な方法を選択し、具体的な装着位置と方法を指導します。
ゴムかけの装着時期と期間
ゴムかけを始めるタイミング

ゴムかけを開始する時期は、患者様の症例によって異なります。
最も一般的なのは、歯並びがある程度整ってきた治療の中盤から後半にかけてです。
この段階では、歯列の大まかな配置が完了し、噛み合わせの微調整が必要になるタイミングです。
ただし、症例によっては治療の早い段階からゴムかけを開始することもあります。
例えば、出っ歯や受け口が顕著な場合、初期段階から上下の位置関係を調整する必要があるためです。
歯科医師が歯の動きを確認しながら、最適なタイミングでゴムかけの指示を出します。
ゴムかけの装着期間
ゴムかけの装着期間も、患者様ごとに大きく異なります。
一般的には数ヶ月間というケースが多く見られます。
短い場合は1ヶ月程度で終了することもあれば、噛み合わせの調整に時間がかかる場合は半年以上続くこともあります。
装着期間は、実際の歯の移動速度を見ながら調整されます。
計画通りに歯が動いていれば期間は短くなりますが、動きが遅い場合は期間が延びる可能性もあります。
定期的な通院で歯科医師が進捗を確認し、ゴムかけの継続や終了を判断します。
1日の装着時間
ゴムかけの装着時間は、マウスピースの装着時間と同じく、1日20時間以上が推奨されます。
食事と歯磨きの時以外は、常にゴムをかけた状態を保つことが理想です。
装着時間が不足すると、歯の移動が計画通りに進まず、治療期間が延びる原因になります。
また、ゴムの弾性は時間とともに弱くなるため、毎日新しいゴムに交換することも重要です。
外出先でもゴムが切れた時のために、予備のゴムを持ち歩くことをおすすめします。
ゴムかけをする際の注意点
正しい位置に確実にかける
ゴムかけで最も重要なのは、歯科医師が指定した正しい位置にゴムをかけることです。
間違った位置にゴムをかけてしまうと、歯が計画とは異なる方向に動いてしまい、理想の歯並びにならない可能性があります。
初めてゴムかけをする際は、歯科医院で装着方法をしっかりと練習しましょう。
鏡を見ながら正確な位置を確認し、慣れるまでは時間をかけて丁寧に装着することが大切です。
不安な場合は、写真や動画で記録しておくと、自宅でも確認しやすくなります。
毎日ゴムを交換する

ゴムは使用しているうちに弾性が弱くなるため、毎日新しいものに交換する必要があります。
古いゴムを使い続けると、十分な力がかからず、歯の移動が遅れてしまいます。
朝起きた時や歯磨き後など、決まったタイミングでゴムを交換する習慣をつけると良いでしょう。
装着時間を守る
ゴムかけの効果を最大限に引き出すには、1日20時間以上の装着が必要です。
「少しくらいなら大丈夫」と装着をサボってしまうと、治療期間が延びるだけでなく、追加費用が発生する可能性もあります。
食事や歯磨きの時以外は、常にゴムをかけた状態を維持しましょう。
外食の際も、食後すぐにゴムをかけ直すことを忘れないようにしてください。
痛みや違和感への対処
ゴムかけを始めた直後は、歯に力がかかるため、痛みや違和感を感じることがあります。
これは歯が動いている証拠であり、通常は数日で慣れてきます。
痛みが強い場合は、無理をせず歯科医師に相談してください。
また、ゴムが口の中に当たって口内炎ができることもあります。
その場合は、歯科用ワックスで保護したり、ゴムの種類や位置を変更したりすることで改善できる場合があります。
ゴムが切れた時の対応
会話や食事の際に、ゴムが切れてしまうことがあります。
切れたゴムはすぐに新しいものに交換し、装着時間を確保しましょう。
外出先でも対応できるよう、常に予備のゴムを持ち歩くことをおすすめします。
ゴムが頻繁に切れる場合は、装着方法が間違っている可能性もあります。
次回の通院時に歯科医師に相談し、正しい装着方法を再確認してください。
ゴムかけをサボるとどうなるのか

ゴムかけは患者様ご自身で行う処置のため、つい装着を忘れてしまったり、面倒に感じてサボってしまったりすることがあるかもしれません。
しかし、ゴムかけをサボると、治療に深刻な影響が出る可能性があります。
治療期間が延びる
ゴムかけをサボると、歯の移動速度が遅くなり、計画通りに治療が進まなくなります。
その結果、当初予定していた治療期間よりも長くかかってしまうことになります。
場合によっては、数ヶ月から半年以上も治療期間が延びることもあります。
噛み合わせにズレが残る
ゴムかけは噛み合わせを精密に調整するための重要な処置です。
装着をサボると、上下の歯の位置関係が計画通りに整わず、噛み合わせにズレが残ってしまう可能性があります。
噛み合わせのズレは、見た目だけでなく、顎関節への負担や歯の寿命にも影響を与えることがあります。
追加治療が必要になる
ゴムかけをサボったことで歯が計画通りに動かなかった場合、追加のマウスピースを作成する必要が出てくることがあります。
これにより、追加の費用が発生する可能性もあります。
治療を効率的に進め、余計な費用を避けるためにも、ゴムかけの指示は必ず守りましょう。
ゴムかけは面倒に感じることもあるかもしれませんが、治療の成功には欠かせない処置です。
歯科医師の指示に従い、毎日しっかりと装着することで、理想的な歯並びと噛み合わせを実現できます。

まとめ:ゴムかけは治療成功の鍵
インビザライン矯正におけるゴムかけは、マウスピースだけでは難しい歯の移動をサポートし、治療期間の短縮や噛み合わせの精密な調整を実現する重要な処置です。
ゴムかけをサボると、治療期間が延びたり、噛み合わせにズレが残ったりする可能性があります。面倒に感じることもあるかもしれませんが、理想的な歯並びと噛み合わせを手に入れるためには欠かせないステップです。
大阪市北区の北新地駅すぐにある「かわさと歯科・矯正歯科」では、インビザライン矯正において、噛み合わせや横顔のバランスまで考慮した治療計画を重視しています。
ゴムかけを含む矯正治療の進め方について、丁寧にご説明し、患者様一人ひとりに合わせたサポートを行っています。
インビザライン矯正やゴムかけについて不安や疑問がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
治療前には3Dシミュレーション(iTero)で歯並びの変化を事前に確認でき、安心して治療を始めていただけます。
総合歯科医院として、矯正治療に必要な虫歯治療や歯周病治療も院内で完結できる体制を整えています。
理想の歯並びと噛み合わせを実現するために、ゴムかけを正しく行い、治療を成功させましょう。
著者情報
かわさと歯科・矯正歯科 院長 川里 邦夫

資格・所属学会・団体
日本歯周病学会専門医・指導医
顎咬合学会認定医・指導医
SJCD(日本臨床歯科学会)認定医
歯科審美学会認定医
矯正歯科学会
口腔インプラント学会専門医・指導医
補綴歯科学会
臨床歯周病学会認定医・歯周インプラント認定医
接着歯学会
OJ正会員・フェローシップメンバー
AO(アメリカインプラント学会)
AAP(アメリカ歯周病学会)

