歯周病治療日本歯周病学会専門医

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歯周病は早期発見・早期治療、そして何より予防が大切です

歯周病治療では口腔ケアがとくに大切です

Periodontics

歯周病は虫歯とともにお口の2大トラブルです。歯ぐきのトラブルとして知られている歯周病は、日本人に広く蔓延していて、成人が歯を失う原因の第1位です。細菌による感染症で、一度発症すると再発しやすい病気ですが、進行と発症のメカニズムが分かっているので、予防ができる病気でもあります。そしてお口全体の健康を左右するだけでなく、全身の健康にも関連します。お口まわり、さらには全身の健康のために、大阪市梅田・北新地の歯医者「かわさと歯科・矯正歯科」では歯周病治療に力を入れています。

歯周病治療を希望される方へ

歯周病治療を希望される方へ

初期段階はほとんど自覚症状がない歯周病は、ある程度進行するとどんどん悪化し、治療しないと進行を止められません。歯を支える組織が壊れ、縮んでしまうので、炎症部位を取り除いてもそのままでは元には戻らず、健康な歯ぐきを取り戻すためにはさらなる治療が必要です。悪化させてしまうと、治療が複雑になり、時間も費用もかさみます。

しかし、予防ができれば治療は不要です。また治療が終わったあとには、再発予防のためのメンテナンスが欠かせません。それには、患者さんが口腔ケアの意識を高め、知識を深め、実践する必要があります。

現在、歯科先進国として挙げられるスウェーデンは、以前は虫歯や歯周病が蔓延し、国家の医療費を圧迫したため、「予防」にシフトしてお口の健康を保つことに成功しています。当院ではスウェーデン・イェテボリ大学に倣って、歯周病治療や予防をご提供します。歯周病を本気で治療したい方に、当院も本気で向き合います。

歯周病とは?

歯周病とは?

  • みなさんが知っている歯周病の症状

    • 歯ぐきから血がでる
    • 歯ぐきが腫れる
    • 歯ぐきが下がる
    • 歯の根が見える
    • 歯がグラグラする

    ※人によって症状が異なります

  • 歯周病発症のメカニズム

    お口の中の細菌が糖分をエサにしてネバネバ成分をだし歯に付着して歯垢(プラーク)を形成します。歯垢(プラーク)を放置すると石灰化して歯石になり、さらに歯垢(プラーク)がつきやすくなります。歯垢(プラーク)の中に歯周病の原因菌が含まれていると、原因菌や産出する毒素が歯ぐきを刺激して歯を支える組織(歯ぐき、歯根膜、顎の骨など)が縮んでいくのが歯周病のメカニズムです。

歯周病の進行

歯周病の進行

※表は左右にスクロールして確認することができます。

歯肉炎 軽度歯周炎 中等度歯周炎 重度歯周炎
歯肉が炎症を起こした状態です。 歯を支える組織の歯根膜や顎の骨にまで炎症が進んだ状態です。 さらに炎症が広がり、歯周組織が縮んでいきます。歯がグラつきはじめます。 歯を支える顎の骨がかなり溶けて、このままでは歯が抜けることにつながります。
歯周病を防ぐには?

歯周病を防ぐには?

歯周病の原因菌が密集している歯垢(プラーク)を取り除くことが大切です。そのための基本は毎日のブラッシングによるプラークコントロールです。しかし、丁寧にブラッシングしているつもりでも、歯と歯の間や歯と歯ぐきの溝に汚れを残してしまいやすく、石灰化して歯石になってしまうとブラッシングでは落とせません。

そこでおすすめするのが、歯科医院での予防処置です。定期的にプロフェッショナルの手でお口のすみずみまで汚れを落とし、さらにお口のトラブルのリスクを減らすために“予防”するのです。

歯周病に関するQ&A
歯槽膿漏とはどんな病気ですか?
歯周病のことで、歯ぐきや顎の骨、その間にある歯根膜と呼ばれる部位などの歯を支えるまわりの組織が炎症を起こすことです。歯が健康でもまわりの組織の支えがなくなるので、悪化させると歯を失うことにつながります。
歯ぐきが腫れているのですが、歯周病ですか?
診断には検査が必要ですが、歯周病の可能性があります。歯周病は歯肉炎から歯周炎に進み、歯周炎にも段階があり、その進行度合いにより治療法が異なりますので、悪化させる前にお早めにご相談ください。
歯肉の病気はどうして起こるのですか?
歯肉の病気のほとんどの原因は歯垢(プラーク)です。歯垢(プラーク)は細菌のかたまりで、ネバネバしていて、歯と歯ぐきの間に侵入していきます。このなかの細菌が歯肉の炎症を引き起こすのです。
歯垢(プラーク)は見えますか?
歯の色と似ているので、肉眼では見えにくいでしょう。
歯垢(プラーク)を取り除く方法はありますか?
口をすすぐだけでは落ちませんが、やわらかい歯ブラシで取り除けます。ただし再形成しやすいのも特徴です。放置して歯石になってしまうとブラッシングでは落とせませんので気をつけましょう。
歯周病の兆候はありますか?
ごく初期段階はほとんど自覚症状がありません。しかし、口の中で変な味がしたり、口臭が気になったり、歯肉がやわらかくなったりしてきたら、歯肉炎を起こしはじめているかもしれません。そのほかの、歯周病のサインはこちらです。

口腔ケアを担う歯科衛生士の役割

歯科衛生士は、口腔ケアのプロフェッショナルです。そして歯科医師と協力して患者さんの『口の健康管理』をします。ドクターと患者さんの橋渡し役としての重要な位置にいる歯科衛生士によって、3者が協力できてはじめて健康管理が達成されるのです。

歯科衛生士の仕事

歯科衛生士の仕事

歯周病の管理

歯周検査、歯石除去、ブラッシング指導、口腔内写真撮影、ティースクリーニング

予防のための指導

ブラッシング指導、生活指導、PMTC、ティースクリーニング

メンテナンス(定期検診)

歯のチェック、歯肉のチェック、かぶせ物のチェック、インプラントのチェック、ティースクリーニング

ホワイトニング

健康管理が達成されたら、さらに見た目をよくする

歯科衛生士の資格について

歯科衛生士の資格について

専門養成機関で2~3年間勉強し、国家試験を経て“歯科衛生士”という国家資格が与えられます。口の中や歯に対する豊富な知識があり、とくにブラッシングは専門分野です。歯科衛生士は、患者さんがブラッシングの重要性を少しでも理解して正しくブラッシングしてくれることを望んでいます。そして、みなさんのお口の健康管理に貢献できるように努力していきます。『歯・ブラッシング』の疑問がありましたら、お気軽にご相談ください。

当院での歯科衛生士プログラム

歯周病治療に力を入れている「かわさと歯科・矯正歯科」では2~3ヶ月おきに院内教育を継続しています。それが「朋の会」で、ステージは3つです。

「かわさと歯科・矯正歯科」朋の会
朋の会 ステージ1
  • 1回
    初期治療

    治療の流れ
    資料収集(チャート)
    インスツルメンテーションの復習(プロービング・スケーリング)
    歯周組織の構造(スキルに必要なもののみ)

    • プローブの止まる位置
    • Pocket DepthとProbing Pocket Depth
    • クリティカルプロービングデプス ~Lindhe (1984)
    • 手用スケーラー VS 超音波スケーラー
  • 2回
    ポリオドンとロジー・カリオリジー

    プラークコントロール
    モチベーション
    歯周組織(バイオタイプ、歯肉の異変など)
    免疫

  • 3回
    確定外科

    再評価の時期 ~Magnusson (1984)
    SRPのくり返しは意味があるか
    外科 VS 非外科 ~SRPの限界
    Ramfjord(1987),Kaldahl(1996)らの文献から
    根分岐部病変 / くさび状骨欠損 / カップ状骨欠損
    軽度・重度ペリオの治療
    バイオタイプによる違い

  • 4回
    メンテナンスとSPT

    薬液(ヨード・コンクール)
    抗生剤(ペリオフィール)
    PMTC(MIペースト・フッ素・リナメル・PTCペースト)
    メンテナンスの頻度
    補綴物に関してDHが伝えること(かんたんなイントロのみ)
    軽度・重度ペリオのメンテナンス

  • 5回
    追加・補足

    補綴物に関してDHが伝えること
    FMD(除菌療法)
    細菌検査……(かんたんなイントロのみ)

朋の会 ステージ2

朋の会 ステージ2

各自、5ケースの基礎資料を持参。
その場で、伝えるべき事項・処置すべき事項を書き出す。
ただし、事前の準備はしない。

ケースプレゼンテーション用のスライドやまとめの作成

朋の会 ステージ3

ケースプレゼンテーション

【歯科衛生士紹介】

歯科衛生士 鈴木朋湖
フリーランス
日本歯周病学会認定歯科衛生士
臨床歯周病学会認定歯科衛生士
元SJCD衛生士コースチーフインストラクタ

【歯科衛生士紹介】

歯周病治療成功の7つの秘訣

1:正確な診査・診断

1:正確な診査・診断

歯周病を発症するには原因があります。病気の治療は対処療法です。その際に現在起きている症状の進行を止めて、痛みや腫れを緩和させるだけで終わらせて、その原因を除去しなければ、どんな治療を行っても再発してしまいます。

当院では治療前の診査・診断のために、必要に応じてさまざまな歯周病検査を行います。進行とともに歯と歯ぐきの溝が深くなり歯周ポケットを形成する歯周病の進行段階をチェックしたり、歯の動揺度を確認したり、レントゲン検査で歯のまわりの顎の骨の状態を確認します。またお口の中の原因菌の種類のチェックも行います。そのうえで、検査データをもとに治療して、原因を除去するのです。

2:メカニズムの理解

2:メカニズムの理解

2:メカニズムの理解

歯周病の原因は歯垢(プラーク)に含まれていますので、その除去ができれば歯周病の進行を止められます。とくに歯肉炎の段階は、歯面に付着する汚れを歯ブラシでしっかり除去できれば改善します。その際にはまず、歯科衛生士が専門的な器具を使って歯面をクリーニングして、患者さんにはブラッシング指導をして毎日のケアにつなげていただくのです。

ところがいったん歯を支える歯周組織に感染がおよぶと、セルフケアだけでは治りませんので、歯周病の進行度合いに合わせて、さまざまな治療を行います。丁寧に時間をかけて行わなければなりませんので、患者さんの歯周病についての知識と治療への理解、そして再発予防のためのセルフケアが欠かせないのです。

3:抗生物質は有効ではない

3:抗生物質は有効ではない

歯周病は原因菌による細菌感染です。そのため「抗生物質が効くのでは?」と思うかもしれません。しかし、お口の中にはたくさんの細菌が存在し、歯周病の原因菌も数種類あります。そのため、特定の抗生物質を利用しても、すべての細菌を不活性化することはできません。

また、いったん歯周病を発症すると再発しやすく、慢性化しやすいので、抗生物質が効きにくいのです。さらに歯と歯ぐきの溝にたまった歯垢(プラーク)や歯石の内部にひそむ細菌にまでは作用しないので、汚れを機械的に除去しないかぎり、歯周病の再発リスクを低く抑えられません。

4:手術が必要な理由

4:手術が必要な理由

歯周ポケットの深さが5mm程度までの歯周病は、手術をしないでも治療可能です。歯肉に麻酔をして、手用器具や超音波スケーラーを使って歯周ポケットの汚れを掻き出します。しかし、歯周ポケットがそれ以上深いときには、治療器具が届かないので、歯肉を切開して歯根を露出させ、歯面に付着する歯石や歯垢(プラーク)を直接確認しながら除去しなければなりません。これが歯周外科処置です。

ただし、感染が歯根の先までおよんでいると、歯を残すことが難しくなり、抜歯が選択されますので、歯周病は悪化させる前にできるだけ早く治療することが大切です。

5:メンテナンスが大切

5:メンテナンスが大切

歯周病は再発しやすい病気です。いったん発症すると、歯科医院での歯のクリーニングを行って、歯面に付着する歯垢(プラーク)を除去しても、毎日のセルフケアで歯ブラシが当たらない部分には4~8週間するとまた歯垢(プラーク)がたまることが分かってきました。これは、口腔内環境は長い年月をかけて構築されるため、ほんの1~2時間での歯科医院でのクリーニングで、いくらきれいにしても、歯と歯ぐきの溝の奥深くなどでふたたび増殖するからです。

歯周病の再発を抑えるためには、毎日のセルフケアとともに定期的な歯科医院での歯科衛生士によるプラークコントロールが有効です。

6:かわさと歯科・矯正歯科の歯周治療

6:かわさと歯科・矯正歯科の歯周治療

歯肉炎は、歯面から細菌を除去すれば健康な歯ぐきに戻りますが、歯周炎にまで進んでしまうと、細菌を除去しても失われた歯周組織はそのままでは戻りません。歯を支える顎の骨が縮んでしまい、歯肉も低くなり、歯が長く見えるようになります。歯の上の部分(歯冠)はエナメル質というバリアで覆われていますが、歯根はバリアがないので、そのままでは虫歯になりやすい状態です。

そのため当院では、スウェーデンで開発された豚のたんぱく質から抽出したエムドゲイン(ビオラ社)を使って歯の歯周組織うを再生する処置にも対応します。

7:かわさと歯科・矯正歯科の総合診療

7:かわさと歯科・矯正歯科の総合診療

当院は成人矯正治療を専門に行い、歯周病治療にも力を入れている歯科医院です。歯並びや噛み合わせが悪いと、見た目が悪いだけでなく、過度の負担がかかる歯が虫歯や歯周病になりやすいことが分かっています。そのため、1本の歯だけを治療するのではなく、お口全体の健康を考え、噛み合わせも重視するのです。そして不正咬合の問題を解決するとともに、さまざまな治療において顕微鏡を使った精密処置を行い、再発・再治療の悪循環が起こらないように治療します。

インプラント治療にも対応し、さまざまな症例の治療実績がありますが、できるだけ歯を残すことが基本です。抜歯をする前に、そしてインプラント治療をする前に、一度当院にご相談ください。「できるだけ歯を残すためにできることはないか」から考えます。

歯周病治療に関するQ&A

歯周病治療とはどんな治療ですか?
まず歯垢(プラーク)や歯石を取り除きます。当院では、徹底的な除石や研磨を行い、必要に応じて歯周外科処置を行うこともあります。
治療しなければなりませんか? 自然治癒はしませんか?
歯肉炎の場合は治癒が可能ですが、自然治癒はしません。発症するとどんどん悪化しますので、早めの治療が大切です。さらにおすすめなのは予防です。
歯肉が腫れているのですが、どんな治療が必要ですか?
まず検査でお口の状態を把握します。そして、診査・診断して患者さんに合わせた治療計画を立案し、ご同意いただいたあとで治療いたします。
検査の費用はどのくらいですか?
症状により異なります。検査には保険診療ではできないものもありますので、詳しくは担当医におたずねください。
どんな検査をするのですか?
口腔内の検査、虫歯・歯周病検査、口腔内写真およびレントゲンの撮影、歯型の採得などを行い、お口全体を診査します。
レントゲン写真はどうしても必要ですか?
お口の状態を知るために、レントゲン写真が必要です。虫歯の進行や歯の根の形など詳しい情報が分からないと、診断ができないからです。
レントゲン写真をとることに抵抗感があるのですが……?
撮影時に照射されるレントゲンの量はごく微量ですので、健康への心配はありません。例えば、私たちが日常、自然界からあびている自然放射の1年間分の総量のおよそ百分の1程度に過ぎません。
歯がグラついています。治りますか?
進行度合いにより異なりますので、まずは検査をして、現状把握が必要です。ほとんどの場合、治療で、ある程度の改善が期待できます。

歯周病の治療と予防の基本は歯石と歯垢(プラーク)の除去です。歯のクリーニングで「歯石とり」を行い、ブラッシング指導をしても改善しない場合や、すでにかなり悪化している場合は、それぞれの症状に合わせて治療します。

なぜ歯石を取るのでしょうか?

なぜ歯石を取るのでしょうか?

歯垢(プラーク)が石灰化した歯石は、表面がザラザラしていて、汚れや歯垢(プラーク)が付着しやすいので、歯周病や虫歯を起こしやすくなります。そして、歯周ポケットに入り込んだ歯石に付着する歯垢(プラーク)がいつも歯肉の内側に直接触れるため、歯肉は炎症を起こし、赤く腫れ、出血を起こすのです。そのまま悪化させると歯を支える顎の骨まで破壊されてしまいます。

  • 歯石除去をしないと……

    歯石が付着していると歯と歯ぐきの境目がはっきりしません。また歯石の下に虫歯があるときにも発見できません。歯石を除去しないまま、虫歯治療をしても、歯型を取ったときに、治療部位と歯の境目が不鮮明になり、作製する詰め物やかぶせ物の精度が低くなってしまいます。

  • 歯石除去をすると……

    歯石を除去して1ヶ月ほどすると歯ぐきの炎症が治まり、引き締まり、虫歯治療の精度が高まります。歯型を取るときにも出血しないので歯と歯ぐきの境目が鮮明です。歯周病がある程度進行していると歯石除去だけでは歯ぐきの炎症が治まりませんので、その際にはさらなる治療を行います。

歯石をとって、お口の中をキレイにしましょう

※表は左右にスクロールして確認することができます。

「歯石をとる」って
どういうこと?
そのままにしていたら
ダメなの?
歯石は一度で
とりきれるの?
歯石は1回とれば
それでいいの?
歯の表面に付着する歯石を歯科衛生士が特殊な器具で除去します。 歯石はブラッシングでは落とせません。そのままにしておくと歯周病や虫歯を引き起こします。 歯石の量や部位、歯周病の進行度合いによって治療回数は異なります。2~6回ほどです。 2ヶ月ほどでふたたび細菌が集まり、歯石が形成されることがほとんどです。

歯石とりの流れ

  • 1検査

    1:検査

    まずお口の状態を把握します。そのために口腔内のチェック・レントゲン撮影・歯周ポケットの測定を行います。

  • 2視診

    2:視診

    実際にお口の中を診て、歯石や歯垢(プラーク)の状態、歯肉の炎症の有無を確認します。

  • 3ブラッシング指導

    3:ブラッシング指導

    歯垢(プラーク)除去につながるブラッシング方法をお伝えします。必要に応じてデンタルフロスや歯間ブラシもご提案します。

  • 4歯周ポケットのチェック

    4:歯周ポケットのチェック

    歯周ポケット内の歯石を探知します。

  • 5かぶせ物のチェック

    5:かぶせ物のチェック

    精度が悪く歯と歯肉の境目が合っていないかぶせ物は、仮歯に替えます。そのままにしておくとその日のうちにふたたび汚れが入ってしまうからです。

  • 6歯石除去

    6:歯石除去

    専用の器具を使い、歯1本ずつ、まわりに付着する歯石除去をします。

歯肉剥離掻爬手術(フラップオペ)とは?

歯肉剥離掻爬手術
(フラップオペ)とは?

歯周ポケットの深さが5mm以上の歯周病の治療の際には、歯根に付着する歯石や歯垢(プラーク)除去のために行うのが歯肉剥離掻爬手術(フラップオペ)です。麻酔後、歯肉を切開して歯からはがし、歯根が見えるようにして、歯石を確認しながら確実に除去できます。すっかり除去したあとは、歯面をなめらかにして汚れの再付着を防ぐとともに、歯肉の汚染部分を除去して縫合します。

  • 歯ぐきから膿が出ています。

    歯ぐきから膿が出ています。

  • 歯周ポケットの深さは6mmです。

    歯周ポケットの深さは6mmです。

  • 麻酔後歯肉を切開して歯根を露出させます。

    麻酔後歯肉を切開して歯根を露出させます。

  • 歯根面の歯石をきれいに除去します。

    歯根面の歯石をきれいに除去します。

歯肉剥離掻爬手術(フラップオペ)の治療費

上下顎 保険適応で、

歯肉剥離掻爬手術(フラップオペ) 1,800円(600点)×本数
歯肉歯槽粘膜形成 8,500円(2830点)
服用薬代 500円

歯石を取る以外の特殊な手術が必要な場合は、保険適応外で、各回8万円です。もっとも多くて、上下左右臼歯部の4回です。

根分岐部病変があるとき

  • 根分岐部病変があるとき

    上下大臼歯は、それぞれ根が3本と2本で、枝分かれしている複数の根があります。そのため根と根の間の根分岐部は、歯石除去が難しい部位です。分岐部は、ほら穴のような形態で、器具が入っていかないため、歯石除去がうまくいかないのです。

  • 根分岐部病変があるとき

    実際に抜歯になった上顎大臼歯です。根の先まで、歯石が付着しているのが分かります。

  • 根分岐部病変があるとき

    文献的にも、根分岐部の歯石は、どのような方法でも取り残すことが分かっています。
    Matia, J.I.et al : Int.J.PRD 1986

取り残さないためには、ダイヤモンドバーで細菌性の沈着物を除去するしかなく、そのためには歯肉を剥離して掻爬するしかありません。そして根分岐部へのさらなるアプローチが必要です。

分岐部へのさらなるアプローチ
  • 1ファーケーションプラスティー

    1:ファーケーションプラスティー

    歯冠・歯肉の移行形態をスムーズにして自浄作用や清掃性を高めます。

  • 2歯根分割

    2:歯根分割

    歯冠を分割して、分岐部をなくす方法です。

  • 3再生療法

    3:再生療法

    GTR法やエムドゲインによって歯周組織を再生させます。

  • 4トンネリング

    4:トンネリング

    歯間ブラシが入るようにトンネルのようなスペースをつくります。

根分岐部でのSRP(歯石除去)の難しさ
  • 根分岐部でのSRP(歯石除去)の難しさ

    7mm 以上の深さの歯周ポケットの根分岐部の歯石をすっかり取り去るのは困難です。

    SRP後の1.5mm以上の アタッチメントロス
    Egelberg&Claffey 1994

  • 根分岐部でのSRP(歯石除去)の難しさ

    麻酔をしてからのSRP後の歯肉からの出血は、臼歯部分岐部で多く見られます。

    Nordland, P., Garrett, S., Kinger, et al  J. Clin.Periodontol., 1987

根分岐部の歯石除去は難しいので、臼歯部分岐部は手術をすることが多く、一方で、単根は、歯石除去が可能なので、前歯や小臼歯部では、外科手術を行わないことがほとんどです。

エムドゲインとは?

エムドゲインとは?

歯周組織再生療法の際に使用するジェルです。歯周病によって失われた歯周組織は、セメント質・歯根膜・歯槽骨からできていて、歯の発生期に分泌されるエナメルマトリックスたんぱく質により形成されます。エムドゲインは、ブタ歯胚歯周組織から抽出したエナメルマトリックスたんぱく質を主成分とする歯周組織再生材料です。

エムドゲインとは?

適応症例は、
1.垂直性の骨欠損
2.根分岐部病変
3.ほかの方法では、治療不可能な症例

保険適用外なので、1ブロックにつき88,000円+材料代33000円です。
歯肉退縮にも応用できます

エムドゲインとは?

手術は抜歯のときのように麻酔をします。まず、治療する部分の歯肉を切開し、剥離して、次に歯根表面の歯石除去や清掃を行ったあとエムドゲインを塗布します。そして歯肉部分を縫合して手術は終了です。手術にかかる時間は約1時間前後で、手術後、しばらく休んでいただけば、帰宅可能です。手術日から1~2週間後に抜糸します。

  • エムドゲインとは?
  • エムドゲインとは?

誘導組織再生療法とは?

誘導組織再生療法とは?

歯を支える歯周組織は、歯根のセメント質、歯根膜、顎の骨(歯槽骨)そして歯肉の4つから構成されています。歯周組織がダメージを受けたとき、4つの中でもっとも早く再生するのが歯肉です。そのままでは、そのほかの3種類が再生する前に、歯肉によってそれぞれのスペースがすべて埋め尽くされ、再生ができなくなります。4つの歯周組織の治癒のスピードをコントロールして、すべてを機能させるのが誘導組織再生療法です。

誘導組織再生の原理

誘導組織再生の原理

1982年、歯科先進国スウェーデンのイエテボリ大学のニーマン博士らが誘導組織再生法を生み出しました。「歯肉上皮は歯根表面に向かって増殖していくのですが、それをいったん抑えれば、ほかの組織も再生するのでは?」とニーマン博士は考え、実践すると予想通りに正常な歯周組織が修復、維持されたのです。

  • 誘導組織再生の原理

    骨補填材を用いる方法
    (骨のできる場所を確保しておく方法)
    3~4年で自分の骨になります。

  • 誘導組織再生の原理

    遮断膜を用いる方法
    (骨補填材の上をさらにカバーする方法)

抜歯窩保護手術とは?

歯を抜いたままにしておくと、歯肉が早く再生するので、骨が縮みやすく陥没したままになりがちです。すると、歯ぐきのラインが不ぞろいで見た目が悪くなったり、食べ物が入り込んでしまったり、審美的にも機能的にもよくありません。また、歯肉が腫れたり、歯ブラシでのケアが難しくなったりするだけでなく、失った歯を補うための治療(ブリッジ治療やインプラント治療など)を行ううえで問題が生じます。

  • 抜歯窩保護手術とは?
  • 抜歯窩保護手術とは?
  • 抜歯窩保護手術とは?

しかし、抜歯したあとに保護処置をすると、骨吸収を抑え、理想的な組織の回復につながります。

  • (1)抜歯後の状態です。何も処置しない場合は3~5mm幅がなくなります。

    (1)
    抜歯後の状態です。何も処置しない場合は3~5mm幅がなくなります。

  • (2)骨充填剤です。

    (2)
    骨充填剤です。

  • (3)抜歯窩に(根のあった穴に)(2)の骨粉を入れます。

    (3)
    抜歯窩に(根のあった穴に)
    (2)の骨粉を入れます。

  • (4)抜歯創用保護剤(コラーゲン使用の創面保護及び内芽形成のためのもの)です。

    (4)
    抜歯創用保護剤(コラーゲン使用の創面保護及び内芽形成のためのもの)です。

  • (5)(3)の上に入れます。

    (5)
    (3)の上に入れます。

  • (6)	縫合したら終了です。

    (6)
    縫合したら終了です。

この状態で3~6ヶ月治癒と再生の期間を経てから、次の処置「欠損修復」を行うのです。

手術費用 88,000円(税込)
材料代 33,000円(税込)

この症例は抜歯窩保護手術後にインプラント治療を行いました。

  • この症例は抜歯窩保護手術後にインプラント治療を行いました。
  • この症例は抜歯窩保護手術後にインプラント治療を行いました。
  • この症例は抜歯窩保護手術後にインプラント治療を行いました。

歯周外科の8つの目的

  • 1.狭義の歯肉剥離掻爬手術
     (骨縁下ポケットへの対応)

    1.狭義の歯肉剥離掻爬手術 (骨縁下ポケットへの対応)

    歯周ポケットの深さが5mm以上の歯石除去を行います。炎症があると術後の出血が多めです。

  • 2.根分岐部病変への対応

    2.根分岐部病変への対応

    枝分かれしている歯根部のの分岐部分の歯石や病変を取り除きます。

  • 3.骨形態異常への対応

    再生療法(骨移植術/GTR/GBR/廓清術)

    3.骨形態異常への対応

    切除療法 (骨整形術・骨切除術)

    3.骨形態異常への対応

    歯ぐきのラインを美しく整え、さらに歯と歯ぐきの境目への汚れの入り込みを防ぐための処置です。歯周組織再生療法や骨の切削などが含まれます。

  • 4.付着歯肉への対応

    4.付着歯肉への対応

    コラーゲンが多くかたい角化歯肉を遊離歯肉移植術などで加えて、歯ぐきや歯を安定させます。

  • 5.欠損部歯槽堤への対応

    5.欠損部歯槽堤への対応

    歯を失った部分の顎の骨や歯肉の再生を促し、顎提の幅を広げ、その上につくる補綴物が安定しやすいようにします。

  • 6.根近接への対応

    6.根近接への対応

    歯の根が接触していて、「補綴物がつくれない」「ブラッシングできない」などのときには、骨切除や歯根切除などを行うことがあります。

  • 7.歯肉縁下カリエスへの対応

    7.歯肉縁下カリエスへの対応

    歯肉よりも下にまで虫歯が進行しているときには、歯ぐきより1mm以上、歯の上部が上にくるように歯肉を移動させます。

  • 8.P.P.S(Periodontal plastic surgery)

    8.P.P.S(Periodontal plastic surgery)

    歯ぐきが一部分かなり下がっているときに、根面被覆や歯槽提増大術を行って健康的で美しい歯ぐきに導きます。

メンテナンスが大切です

メンテナンスが大切です

歯周病を発症するかどうかは3つの要素が作用します。それはもともと、「歯周病の原因菌に対する抵抗力が高いか低いか」「歯と歯ぐきの間の防御機能が強いか弱いか」そして「歯垢(プラーク)や歯石があるかないか」です。このうち3つめの要素は、毎日の丁寧なブラッシングや定期的な歯科医院での予防処置やメンテナンスでのプラークコントロールでリスクを減らせます。予防は治療に勝ります。そのため、歯周病はとくにメンテナンスが大切なのです。

治療後のメンテナンスは治療以上に大切です

治療後のメンテナンスは治療以上に大切です

歯周病はいったん発症すると再発しやすい病気です。長い時間をかけて治療を受けて健康な歯肉を取り戻しても、口腔ケアを怠り、歯と歯ぐきの溝に歯垢(プラーク)をためてしまうと、再発します。フロリダのマグヌソン教授の実験によると、歯のクリーニングをしたあとでも歯ブラシが届かない歯周ポケットないなどには4~8週間ほどでまた細菌が増殖するという結果がでました。

治療後のメンテナンスは治療以上に大切です

永久歯は6歳ころ生えはじめて、時間をかけて口腔内環境が構築されていきます。成人性の歯周病が発症するのはだいたい35歳くらいといわれていますが、これは歯が生えてから30年近くかけてつくられた口腔内の細菌のバランスによるのです。そのため、1~2時間ほどかけて、歯面に付着する細菌のかたまりの歯垢(プラーク)を取り除いても、ブラッシングで落とせないと数週間で元に戻るのは自然な現象なのです。お口全体の健康のためにメンテナンスはとても大切な理由がご理解いただけたのではないでしょうか?

薬剤を使ったポケット内および口腔内洗浄

ポケット内洗浄

ポケット内洗浄

歯周病の進行により歯と歯ぐきの溝が深くなると、汚れが入り込み定着しやすくなります。そしてそこで形成されたバイオフィルム(歯垢:プラーク)はなかなか取り除けません。しかし歯周ポケット内の細菌のかたまりが歯周病の直接の原因になりますので、歯周病のメンテナンスでは、殺菌剤を併用したポケット内洗浄が行われます。

ポケット内洗浄とは

歯周ポケット内を除菌し、歯周病が発症しないような歯周ポケット内の環境に導くために、殺菌剤の溶液を歯周ポケット内に噴射して洗浄する処置です。2種類の殺菌剤があります。

  • ポビドンヨード

    ポビドンヨード

    広範囲の微生物に対して殺菌作用があります。即効性があり、抜歯ができない方や歯周ポケットが深い方のメンテナンスに有効です。ただし、甲状腺疾患や既往歴がある方、ヨードアレルギーの方には使用できません。

  • クロルヘキシジン

    クロルヘキシジン

    低濃度での殺菌性が高く、即効性も持続性も期待できます。バイオフィルムがつきにくくなります。ただし、たんぱく質が多い環境では作用せず、アナフィラキシーショックを起こす可能性があります。着色も心配です。

殺菌ペースト
  • 塩化セチルピリジウム(CPC)

    塩化セチルピリジウム(CPC)

    歯周病菌を殺菌・毒素を不活性化

  • イソプロピルメチルフェノール(IPMP)

    イソプロピルメチルフェノール(IPMP)

    バイオフィルムの内部に浸透し殺菌

  • クロルヘキシジン

    クロルヘキシジン

    即効性があり、殺菌効果が高く、歯垢(プラーク)の付着は抑制するが、アナフィラキシーショックや着色の問題あり

殺菌用ペースト

※表は左右にスクロールして確認することができます。

メルサージュクリア
ジェル(松風)
× フッ化Na 950ppm CPC/IPMP
アパガードリナメル
(サンギ)
× × CPC・ナノ粒子薬用ハイドロキシアパタイト
PTCペースト(GC)
ファイン
RDA 40~60 フッ化Na 900ppm 塩酸クロルヘキシジン
メルサージュプラス
(松風)
RDA フッ化Na 950ppm 塩酸クロルヘキシジン
歯みがきペースト(GC) RDA フッ化Na900ppm 塩酸クロルヘキシジン

音波振動歯ブラシ

音波振動歯ブラシ

丁寧なブラッシングをしていても、みがきグセなどにより汚れを落とすことはなかなか難しいのが現状です。歯の汚れを効率よく落とすためにおすすめなのが音波振動歯ブラシです。音波振動歯ブラシを歯面に当てるだけでプラークコントロールができます。普通の歯ブラシよりも短時間で効率よく歯垢(プラーク)の除去ができるうえ、とくに歯ブラシの毛先が届きにくい歯と歯の間や歯と歯ぐきの溝の汚れの除去の効率が高まります。また、強い力をかけないでブラッシングできるので、歯や歯ぐきにやさしいのも特徴です。

  • sonicare PRONIA Elite 7800

    sonicare PRONIA Elite 7800

    • 振動数は毎分約31,000回
    • スリムなハンドル
    • 超音波振動のトレーニングモードあり(使用開始から14回目までは、ブラッシングパワーを自動調節で約50%に)
    • 2段階切り替え
    • 充電インジケーター (充電残量をいつでも確認可能)

    17,640円(税込)

  • PRINIA

    PRINIA

    • 振動数は毎分約31,000回
    • グリップが持ちやすい
    • ブラシの中にバネがブラッシング圧を200gに調節し歯面の凹凸うまく適応
    • 3段階切り替え
    • ワンタフトブラシ付き

    9,975円(税込)

メンテナンスの効果~40歳の方の口腔内の比較~

左はとくに口腔ケアに関心はありませんが、長年、歯科医院には治療のために通い、かなりの時間と費用をかけてきた方です。自己流のブラッシングのため、みがき方が強すぎて、歯肉が腫れ、痩せてしまっています。予防よりも「悪くなったら歯医者に行く」治療中心だったので、ブラッシングをしているにもかかわらず歯がどんどん悪くなってしまっています。

  • メンテナンスの効果~40歳の方の口腔内の比較~
  • メンテナンスの効果~40歳の方の口腔内の比較~

右の方はとくに健康に関心があるとはいえませんし、熱心にブラッシングしていたわけではありませんが、長年にわたって3ヶ月に1回程度予防に通っていた方です。歯科医院で口腔ケアのプロフェッショナルの歯科衛生士が定期的に歯垢(プラーク)や歯石を除去してきたために、何年もの間、虫歯や歯周病の傾向も認められません。これまでに予防のために費やした時間も費用も左の方にくらべるとごくわずかです。しかも、はるかに歯の健康状態が保たれています。

これまで歯科医院には「治療のために行く」と考えられていました。しかし歯周病も虫歯も発症して悪化すると治療にかなりの時間がかかります。そして歯を失うことにもつながってしまいます。そこでご提案です。歯科医院には「病気にならないように行く」と発想を転換しませんか?

メンテナンスの効果~40歳の方の口腔内の比較~

ミヤネ屋2020

歯周病が認知症を引き起こす!?
※2020年10月にテレビ(ミヤネ屋)でも取り上げられました

メンテナンスの効果~40歳の方の口腔内の比較~